※どこからどう見てもぬるいです。



「ッ、なまえ」

「な、ちょ、えッひあああ!」

いきなり名前を呼ばれたと思いきや、ズンッといつもより激しい律動。
おいおいどうした。さっきしたばかりじゃない。
それに意識が飛びそうになるけど必死にこらえた。


しかしこんなに求められるのは久々だな、と
快楽に溺れたキャパいっぱいいっぱいの頭で思う。
余裕なさげに腰を打ち付ける目の前の男、
まあつまり彼氏の話なのだが、いつもはまったくと言っていいほど
こういうのを求めてこない。

時たまこうして人並みに求めてくるぐらいである、が、
これまで精々二回位だった。はずなのだが、

「う、あっ!ッ、どうしたの、」

いきなり、という言葉は口を塞がれてしまったので口の中で立ち消えしてしまった。

舌を絡められ、歯列をなぞられ、そして下からは激しい律動。どちらともつかない唾液が私からただ垂れる、垂れる。
それすらも快感に感じてしまって、背中がぞくぞくと強張った。

チュッとリップ音を立てて私から名残惜しそうに離れた彼の唇は
テラテラと唾液でおいしそうに光っていた。

そして律動が速くなったと思えば、
「は、ぁ…ッや、ああぁぁッ!?」

目の前がチカチカ光ったように見え、身体は痙攣を繰り返す。
あゝ、自分は達したのだ。
それは彼も同じ様で、私の中でビュク、と白濁の欲望を吐き出していた。

一旦律動が引いたと思って気を抜いたら、
再び彼が一気に奥までまで入ってきて、さっきよりも激しい律動が、
また、始まった。

「はっ…まだ足りない…」

下からの律動に耐える私はびっくりした。足りない。そんな言葉を聞くのは初めてだから。

そして、彼はこう続けた。

「こんなにぐちゃぐちゃになってるのに、まだ足らないんだよ…なまえ」

切なげに下げられた瞳。そんな瞳に吸い込まれるかの様に、
瞼にキスをした。
私も足らないの。そういう意味も合わせて
今度は手首にキス。

「わ、たしも…足らないよ…宏」

そういえば、彼は目を開かせた後に笑った。

「じゃあ、たまには2人で乱れるか。」

そう言葉を発した彼はもう雄の顔で。
たまには、こういうのもいいと思ってしまった私がいた。
大人しい狼さんの
発情期

(手首のキスは欲望へのキスなのよ。)



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