medium story

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顔を真っ赤にさせることはよくあった。



それが可愛いと思ってた。


今でももちろん名前の照れた顔は可愛いぜ?



ただ、俺何やってんだって思っちまった。





赤い頬よりも、涙の膜が張った瞳に釘付けになった。

流石に、可愛いなんて思えなくて俺もしかしてやばいことしちまったかもっていう気持ちが真っ先に浮かんだ。



ずっとずっと我慢してきた。


本当は手を繋いで帰りたいし、もっと一緒にいてえし、こんな所で別れないで家まで送り届けたい。


可愛い可愛い名前を常に見えるところに置いときたいし、いつでも触れる距離にいたい。



ただ、俺と喋るのもいっぱいいっぱいだった名前の事を考えて、ゆっくり少しずつ慣れてくれればいいなんて思ってた。




そんな風に俺たちのペースで歩んできて1年。



初めて好きなやつにキスをして、驚かせて泣かす一歩手前かよ。


今まで大事にしてきたつもりだなんてよく言うぜ。


どうしようもないことに一人で焦りを覚えて、一人で突っ走った結果が、名前にこんな顔させちまってんだな。情けねぇのな。




それからどうやって帰ったかはよく覚えてない。


ただ、一言「ごめん。」と告げて。



名前の顔は、見れなかった。





大きな目いっぱいに浮かんでた涙がこぼれたら最後、俺、もうお前に触れらんねーよ。



壊物みたいに扱うなんて不器用な俺にはできねぇ。







「それで帰ってきたのが俺んちってどーゆーことだよ!?自分の家もわからなくなったか?」

「まぁまぁ、獄寺くん」

「しかもだ!野球バカの分際で、10代目を呼びつけるたぁいい度胸じゃねぇか!」





とりあえず獄寺んちにツナを呼び出してみた。


一人でいるとあの時の名前の泣きそうな顔ばかりが浮かんじまってだめだ。



「山本どうしたの?なんかあった?」

「……………キスしたら泣かした。」

「「…………はぁー!?!?」」





すっげー、驚かれた。




「お前ら1年も付き合っててキスもまだだったのかよ。」

「獄寺くん。赤い顔して偉そうなこと言っても説得力ないよ…」





あの涙はなんだったんだろう。


泣くほど嫌だった?


俺が怖かった?


名前のことだから後者かな。




怖がらせたかったわけじゃねぇ。ただ、今日こんな気持ちであいつにキスするつもりでもなかった。



「驚いちゃったんじゃないの?急なことだったんでしょ?」

「んー、まぁな。だってよ、いつも電信柱まで見送ってくれんじゃん?それが今日は、いつもより長くてさ、可愛かったんだよ!!」

「はぁー!?てめえ、結局のろけかよ!果てろ!」

「ちげーって!真剣に悩んでんだろー?な、ツナ!」







好きな奴との初めてのキスはレモンみたいに甘酸っぱいもんでもねーみたいだ。











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