medium story

意地っ張り






『…………』






今日1日獄寺の様子が変。

みんなの輪には加わってるけど話さない。ツナが気を利かせて話しかけてもいつもの忠犬っぷりが感じられない。

なによりあたしと目を合わせようとしない。



あたしが昨日やっと気付いた自分の気持ち。

今日うまく話せるかなとか、ぎこちなくなったりしないかななんて思ってたのに…。





なんでこんな態度取られなきゃならないんだ。ムカつく。




お昼もあたし達のせいでなんだか気まずい雰囲気だ。

山本もツナも困った顔してる。



昨日の放課後自分の気持ちを教室で待ってたツナに1番に報告した。

ツナは「やっと気付いたんだね」って笑ってくれて応援すると言ってくれたのに。



なんだか1日目にしてくじけそうです綱吉くん。




「十代目、一服してきますね」



そう言って屋上の端に移動してしまった獄寺の背中を見つめる。



いつもなら「おら行くぞ」とか言って誘ってくれるんだけどな〜。





「おい、獄寺の奴どうしたんだよ?」

「なんか落ち込んでない?」

『明らか不機嫌でしょ。しかもあたし目も合わせてもらえないんだけど泣いていいかな?』

「ちょッ名前!」



嘘泣きしてたら山本が頭をポンポンしてくれた。

やめろやい!ほんとに泣いちまうだろ!←




「心当たりないんでしょ?」


心当たりなんてない。
喧嘩もしてないはずだし。
でもあんな態度なのって昨日の放課後からかな?

だとしたら−−



『昨日の子と付き合ってたりして…』

「え゛ッいくらなんでもそれはねぇだろ」

『タイプな子だったかもしれないじゃん』



はぁーとため息。



「もう本人に聞くのが手っ取り早いと思うぜ?」

な?と言いながら屋上の端を指差す。

「そうだよ名前!いつもみたいにたばこ行ってきなよ」



ツナにたばこを薦められる日がくるとは…。



『名字名前行きます!!』


ビシッと敬礼して目指すは獄寺。

女は度胸だ!ビシッとバシッと問い詰めてやるんだから。









『ご、獄寺…?』

「…んだよ」

そっけな!!くじけそう…
いやいや負けるな名前



『あのさ…なんか怒ってません?』

「あ?なんもねーよ。そんなことよりおまえこっちいていいのかよ」
『いつも一緒に吸ってんじゃん!』

「そうだけど、いいのかよ今日からもそれで」



何が言いたいんだろう。
今日からは一緒に吸えないって事なのかな?



それはやっぱり−−


『彼女が…できたから?』

「は?おまえ何言っ…『獄寺に彼女ができたからあたしとはなかよくできないってこと?』………はぁー!?」




盛大に睨まれました。



『だって昨日告白されてたじゃん!!』

「おまえ見てたのかよ。悪趣味な奴」

『たまたまです!しかも途中でちゃんと引き返したし』

「そうゆうおまえだって山本にすきとか言ってたじゃねーか」

『は?聞いてたの!?ちょ、どっから?』

「知らねーよ。山本がすきなら俺の所じゃなくて山本の所にでもいってろよ」

『山本はすきだけどそうゆうすきじゃないし!!だいたいあたしのすきな人は…っ』





「誰だよ」

『えっ?』

「すきな奴…いんだろ。誰だよ」



言えるわけねーだろー!!
え、何これこんなタイミングで告白?



「おい黙ってんじゃねーよ」

『ちょ、うるさい!こっちは…今日緊張してたってゆうのに!うまく話せるかなとか…普通でいられるかなとか…不安だったのに、だいたいあんたのその態度なんなの?あたしなんかした?なんで自分の気持ちに気付いた翌日こんなんにならなきゃいけないわけ。辛すぎ、獄寺のバカ!山本じゃないし!あたしがすきなのはおまえだバーカ!!!!』




一息で不満を爆発させたら言う予定なんてなかった告白までしてしまった。

これ告白でいいのかな?
怒鳴り散らした感じだけど。

ツナ達の方まで声が聞こえてそう。




「…………」

『黙ってないで何か言ったらどうですか…』



獄寺が黙るからあたしの頭も冷静になってきて、そしたら自分がどれだけ恥ずかしい奴か気付いた。

顔が熱くて自然と下を向いてしまった。



「……だーっ!なんでおまえが赤くなってんだよ!」


その言葉に顔を上げれば、右手で口元を被い顔を赤らめる獄寺がいた。

「恥ずかしい奴…」とか言ってるし。

『恥ずかしい奴でごめん。今の全部忘れて』

「は?忘れられるわけねーだろ。あんな恥ずかしい告白」



バカにしてんだろこいつ。
人が決死の覚悟(?)でした告白なのに。



『だって迷惑なだけでしょ彼女のいる獄寺には』

「いつどこの誰が昨日の女と付き合ったっつったんだよ。バカかおまえは…」



頭にポンと置かれた左手。
相変わらず右手は顔の半分を隠してるけど。


ぽけーっと見つめていたら「みんな」って左手で顔を下にされた。



首っ、首がグキって言いました!



「勘違いしてんじゃねーよ。他の女となんか付き合うかよ。おまえの世話だけで手一杯だ」



手を離してもらおうと必死に動かしていた両手が不自然な場所で止まる。



え?え、あたしの世話?




『あたしの世話ってどうゆう意味ッ!?』



顔を上げて驚いた。獄寺顔真っ赤。



「顔上げんなっつっただろ」とまた戻されたけど。


『ねー獄寺?これって…自惚れてもいいの?』








獄寺からの返事はなかったけど抑えつけるための左手で、優しく頭を撫でてくれたから「えへへッ」と、顔を上げたら「マヌケな顔」と笑われた。



獄寺だってタコみたいに真っ赤でマヌケだよ。

これって『両想い』でいんだよね?



















「う、うまくいったのかな?」
「そんな感じだよな」
「俺らも合流しちゃう?」
「獄寺に邪魔だって言われそうなのな」
「でもおめでとう言いに行こ!」






END



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