medium story

僕のハートは鷲掴み






野球部のレギュラーとしてステージの上に立つ。ステージなんて滅多に登れるもんじゃない。

見渡してみれば全校生徒の顔がよく見えた。



キョロキョロと辺りを見渡していれば隣の先輩に

「おい、武かわいい子探しか?」

とおちょくられた。

「違うッスよ!!」



俺はただ1人の女の子を捜していた。





野球部の3個後くらいまで出番が迫っているんだろう。

体育館の端に短いスカートのユニホームにキラキラしたポンポンを持ったチア部が固まっているのはすぐに見つかった。

目立つもんなー。

今日はみんな髪の毛をお揃いのポニーテールにしている。ほんのり化粧もしているのだろうか。

女の子特有のキラキラが見える気がする。



誰もが緊張や興奮から落ち着きがないようにも見えた。



そんな列の後ろの方で目を閉じるあいつを見つけた。



名字、緊張してんのかな?

目を閉じて深呼吸しているように見える。










時間がとてもゆっくり流れているように思えた。

キャプテンの声も体育館のざわめきも拍手の音も一瞬、何もかも聞こえなかった。






ゆっくりと目を開けた名字は、もういつもの自信のなさそうな名字じゃない。

その瞳には自信の色が見え顔付きも、これからが楽しみで仕方がないとゆう顔だ。



俺が初めて名字を見た時の、あの顔だった。









ステージを降りてからは急いで自分のクラスの列に戻った。


今日はパイプ椅子が用意されている。どこに座ろうかクラスの列を見渡せば手招きをしているツナと目が合った。



「山本!早く早く!」

「さっさと座りやがれ。十代目がわざわざおまえの為に席をご用意して下さったんだぞ!」

「山本、名字さんのダンス見たいんじゃないかなって」



持つべき物はダチだぜ!!

ツナと獄寺は最前列ではないもののステージを中央から眺めることのできる、なかなかいい位置に陣取っていた。

ツナに聞いたところ獄寺が脅したんだとか。

今日ばかりは獄寺ナイス!








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