medium story

さあ!お披露目の時







「我々水泳部は−‥。」





それぞれの部活がこれから行われる大会の組み合わせや豊富を語り、全校生徒の拍手で激励される。



私たちチアダンス部はお披露目も兼ねているので1番最後だ。

この待ち時間がとても緊張する。ポンポンを持つ手が汗ばむのが分かる。



体育館のステージでは小さすぎるため本来の隊形では踊れない。今日踊るのはステージの大きさに合わせた縮小バージョンだ。





「野球部の予選1回目は−‥。」



野球部の主将がマイクを握る横に、一列に並ぶレギュラーの生徒。その中には2年生ながら山本くんの姿もある。

隣は先輩だろうか。
肘で小突かれじゃれている山本くんはとても楽しそうだ。



なんだか山本くんの笑顔を見たら緊張が解けたような気がした。

あたしに向けられた笑顔なわけじゃもちろんないけど、山本くんが笑うとこちらまで楽しくなる。

そうゆう人を引きつける力が山本くんにはあるんじゃないかなと思った。



自分の笑顔で他人を笑顔に。



自分が楽しまなきゃ相手を楽しませる事なんて出来っこない。

練習ならした。

自信が付くくらい踊り込んで、教わった振りを自分の物にした。




あとは踊るだけ!





目を閉じて深呼吸。

次に目を開けた時にはいつものおどおどしてるあたしはいない。









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