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私流!自信の付け方
鏡の前で振り確認を始めてから1時間ほど経っただろうか。
今日は体育館は使えない。いつも借りている剣道場に1人残って練習している。
来週、激励会とゆう物が並中で開かれる。
夏に向けていろいろな部で予選大会などが開催される。あたし達チア部も大会があってそれが再来週まで迫っている。
場慣れしておくために激励会で踊ることになっているのだ。
普段何に対しても自信がなくておどおどしている自分。それでもダンスは小さい頃から大好きだった。
胸を張ってダンスが好きだと、チアが好きだと言えるようになりたくてあたしは人一倍練習をしている。
誰よりも練習して完璧にしないと気が済まないし、自信も持てない。
チアダンスは野球やバスケの応援のイメージだが今では大会なんかもあって、4分程度の曲を踊り、笑顔・迫力・元気・ダンスのキレ・完成度などから点数が付けられる。
4分も踊り続ければ息も上がるし正直笑顔を保つのは難しいが、元気を与えるというのがチアの大前提にあるので、笑顔は決して欠かしてはいけないのだ。
もう7時だしあと1回踊ったら帰ろうかな。あまりギリギリまでいてこの間のようなことになったら困る。今度こそかみ殺されてしまう。
曲を流そうとデッキに近づいた時「よっ」と扉から顔が出てきて「うわぁー!!」と盛大に尻餅つきました。
「あんな驚くとは思わなくてよ!ごめんな」
『あ、ううん。こっちこそ、ごめんね。』
犯人は山本くんでした。
「音楽聞こえてたから名字まだいるかなーと思ってさ」
『え、っと…そうなの?』
「おう!まだ残るのか?」
『あ、えっと…あと1回、踊ったら終わりに、しようかな…と』
「今から踊んのか!?見せてくれよ!!」
『えぇ!?む、無理だよ!…まだ、自信ないし』
踊ってくれと目をキラキラさせて言う山本くん。そ、そんな期待を込めた目で見られてもまだ人に見せられるくらいの自信が付いていない。
『来週…激励会があるの、知ってる?』
「おう。野球部も前に出るのな」
『そ、そこで全校の前で、踊るから…その…それまで待ってて、欲しいの』
来週までには自信付けるからとそう伝えれば楽しみにしてると山本くんは言ってくれた。
「じゃ、俺が荷物取りに行ってる間に踊っちまえよ」
『え?』
「来週までは我慢なんだろ?楽しみにしてっからさ。そのかわり今日は一緒に帰ろーぜ!」
あたしの返事も聞かないで山本くんは荷物を取りに行ってしまった。
え、今日一緒に帰るの!?そんな…あたしなんかがいいのかな?
しばらくぽけーっとしていたが早く踊ってしまわなければ山本くんが来てしまう。
あたしはデッキに近づき鏡の前で構えた。
心臓がドキドキしてる。
この緊張は激励会?それとも…。
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