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はぐれんぼ



独立暗殺部隊ヴァリアーは、ボンゴレファミリー屈指の暗殺集団。エリートの中のエリート達で構成されているだけでなく、任務の内容も常人では遂行不可能レベルの高ランクのものばかりだった。


「あれでCランク任務…?オレ、5年後生きてられんのかな…」

「いいじゃない!任務に出られただけマシよ!」

「ベル隊長は実戦で学べって言ってたぜ!確かに訓練とは比べ物にならないくらいいろんなことを学んだ気がする。」


ヴァリアーにはボスであるザンザス様の下に6つの部隊が存在しており、その頂点に幹部と呼ばれている隊長達がいる。雲の部隊は何故か昔から幹部不在の部隊だが、隊員は少しだけいるらしい。

ボンゴレの守護者の使命になぞらえて、ヴァリアーの各部隊にもそれぞれ役割や得意分野というものがある。雲の部隊はその使命から諜報や潜入任務が多く、表立ってヴァリアーとして暗殺任務に就くことは少ないと聞いている。


ヴァリアーに入隊した新人は厳しい訓練の後それぞれの属性毎の部隊へと割り振られる。数年前までは、性格や身体能力で割り振られていたらしいけど、指輪に炎を灯す技術が急激な進歩を遂げてからは、振り分け用の指輪に強制的に炎を放出させられて自分の属性を知ることになる。


7つの指輪を両手にはめて、私から出てきたのは水色の雨の炎だった。


「はぁー私も任務に行きたいなー」

「新人の初任務は所属部隊の隊長の許可が下りなきゃ無理なんだって。ウチの隊で大怪我した新人もいるしよ。焦んなくてもいんじゃねーの?」


ヴァリアーの任務は単独で行うものからチームを組んで行うものまで様々だ。
新人のうちはチームでの任務が多く、場慣れして経験を積んで少しずつ難易度の高い任務に出ていくようになる。新人のチームでの役割といえば後方支援および任務終了後の後処理で、活躍するのは腕の立つ先輩ばかりだ。ただ、年功序列ではないのがこの世界の在り方で、実力があれば先輩達をごぼう抜きすることも簡単だし、いち早くチームのリーダー格を任せられることもあると聞く。

一つの部隊のみで構成されるチームの他に、任務内容や個人の適正で各部隊から選出される選抜チームなんかもあって、ひとえにヴァリアーと名乗ってもその仕事ぶりには個人や所属部隊で差がある。


それもこれも任務につけたらの話であり、私がこうして同僚を捕まえてぐちぐちと文句を垂れているのには訳があった。

雨の部隊に所属が決まってから数ヶ月。

少しずつ同僚達が初任務を経験していく中で、どうにも一向にその気配がない。女だからと舐められるのは昔から嫌いだけど、男女の体格差や身体的能力差は悔しいけど自覚している。それでも活躍している女性隊員の方はいるし、私だって男でも落ちるような過酷なヴァリアーの入隊試験に受かったひとり。

早く任務に出たい。

それが今私の一番の願いだった。


title by花洩


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