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キスの方式





日が短くなった冬の夕方頃。
五時という早い時間というのにもう外は真っ暗で、校舎内には人の気配が感じられない。そんな中、俺は日直の仕事で教室に残っていた。
本来ならば俺一人なのだが…

「まだ終わんねぇのか?」

学校一の不良と恐れられている真っ赤な髪をした男、ユースタス・キッド。何故かこいつがいる。
しかも俺の前の席に座り、向かい合わせになっている…別に嫌いってわけじゃない、むしろ…好き、だ。だからユースタス屋の存在が気になって集中できない。
でもユースタス屋がここにいる理由が分からない。俺とユースタス屋はそこまでつるんでいるわけでもないし、よくサボった時に見かけて話すぐらいだ。

「なんでユースタス屋が居るんだ?」

少し勇気を振り絞って聞いてみた。
どうせキラー屋あたりを待ってるんだろうなと思いつつも、俺を待ってるからとか言ってほしいと思った。
でもユースタス屋は俺のことなんて眼中にないんだろうな。ユースタス屋には綺麗な大人の女性が似合いそうだもんな。
…ユースタス屋が綺麗な女性と並んでいる姿を想像して少し…いや、かなりへこんだ。何をやってるんだ俺は。
そんな考えをしている間も俺はペンを走らせ、ユースタス屋はそれを眺めながらんーと唸った。

「…お前に用があるんだよ」

パタリ、その言葉に俺は思わずペンを落とした。
今何て言った?ユースタス屋が、俺に?

「用って…メールで良いじゃん、何もこんな遅くまで待ってくれなくても」
「メールなんかじゃ駄目だ、大事なことなんだから」

そ、それって…!
俺の顔がだんだん熱くなるのを感じた。いかん、これは絶対赤くなってる。
赤い顔を見られないよう俯き加減でまた口を開く。

「だ、大事なことって…?」
「あぁ、実はな…」

これって、これって告白…!?
そう考えるだけで、心臓がバクバクと音を鳴らす。ユースタス屋に聞こえてないだろうか。
俺はじっとユースタス屋の言葉を待つ。

「実はだな…」
「う、うん」

あぁもう!焦れったい!!
早く言ってくれ!!

「悪い!課題手伝ってくれ!」
「…ハ?」
「最近サボりすぎて単位がヤバいらしくてよ、数学の教師に課題出されたんだよ…お前数学得意だろ?頼むっ!」

…課題??俺は課題にドキドキしてたのか…??いやいや、課題にドキドキしたというのはおかしいな。課題を告白だと思ってドキドキしたと言うのだろうか。もう何が何だかわからない。

「ハァ…分かった、どんな問題かプリント見せてみろ」
「サンキュ!助かるぜ!」

数学の教師め…!いつか覚えてろよ!
ユースタス屋から一枚のプリントを受け取り、数学の教師を恨みながらそのプリントを開いた。

「…!これ!」
「ど?結構な難問だろ?」

プリントから顔をあげるとニヤリと笑っているユースタス屋の顔が近くにあった。
何が書かれたかというと…

「俺がお前のもんになれば問題ないだろ?」

そう言って、俺はそっとユースタス屋に口付けをした。

“トラファルガーにキスする方式”

それはユースタス屋+俺×愛で解けるよ。


キスの方式
(大体好きじゃなかったらわざわざかぶるように授業サボらねぇって)
(…あれってわざとだったのか)




***アトガキ***
ツイッターでお世話になっている楼さんとお話していて成り行きで出来たキドロキド企画サイト”混沌”への提出作品です!

しかし私が書くローさんはどうやっても乙女になってしまう…(-ω-)むー
キッドくんもなんか気障だしね…。

ですがカオスなキドロキドサイトに提出ですからね!
細かい事は気にしなーい☆←

では、こんなキドロですがよろしくお願いします!





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