フェラするのは好きだった。苦いし、不味いし、長いし、疲れるけど、いく瞬間が好きだった。長いこと無言で、ときどき「うまい?」とか聞いてきてイラっとして、それでもただ無心に舐めたり擦ったり舐めながら擦ったりすったり。息を乱れさせないように我慢しても、何をして誤魔化しても、わかるんだもの。ここは気持ちい気持ちいっていってるの。彼は、今、この瞬間だけはわたしのことしか考えてない。わたしにいかせてもらうことだけ、考えてる。ねぇ、そうでしょう。他の女のことなんて考えてないでしょう。そんなこといわれたら、噛みちぎっちゃうよ。なんてね。 「…出る」 「ん」 口の中に出てきたものを全部飲み込む。はじめは口の中にとっといて後でティッシュに出したりとかもしてたけど、飲んじゃったほうが早いってことに気が付いた。うん、まずい。 舐めたあとは、ちゅーを嫌がる。そりゃあ、そうだよね。自分の舐めた口だもん。わたしも嫌よ。嬉しそうにティッシュで後片付けしてる彼を尻目に洗面所で歯を磨く。相変わらず、嫌ね、後は。口んなかが気持ち悪いったらないわ。 「歯磨いた?」 「磨いた」 「ほれ、こっち」 布団の隣をぱんぱん叩く彼にため息がこぼれる。わたしって、彼の何なのかしらね。無制限無料ピンサロみたいな?あはは。ふざけんな。 ムカつくから、当たり前のように腕枕されて布団ふんだくってそっぽむいて寝る。わたしの気持ちはずっと前に伝えたのに。都合のいい女に成り下がったよね、わたし。あーあ。彼氏ほしー。 ------ 言葉が足りないことに定評のあるアニキとその彼女。アニキは彼女だと思ってるけど彼女はアニキを彼氏だと思ってないわけよ、好きだけど好きだって言ったけどアニキからは好きだって言われてないから! しないのは彼女のプライドの問題。そこまで都合のいい女になってたまるかっていう。 |