鶏が死んだ。

初めての子だった。お隣さんからもらった卵が孵化して、私が初めて育てた子。わんちゃんはいたけど、牧場としては初めてだったの。昨日の夜までは元気でいつもみたいに卵をうんでくれたのに。急に。

泣きながら町の一番端の教会へ行ってカーターさんを叩き起こすと、カーターさんはいつもと変わらない顔で「生まれたものは、いつか死ぬのです」と言った。「しかし、死ぬために生まれるのではありません。なにか、理由があるのです。生きている間に理由が見つけられれば、幸せなのでしょうね」あの子は、理由を見つけられたのだろうか。毎日毎日同じ生活を繰り返して、楽しかったのだろうか。私と生きて、幸せだったのだろうか。

墓地の隅に小さな動物用のお墓に埋葬された私の鶏を見て、また涙が零れた。

「やあ、大丈夫かい?」

カーターさんの後ろから現れたお隣さんに気まずくなる。彼にもらった卵の子だったのに。きっと、彼も悲しんでるに違いない。それから、私にも失望してるんだ。おまえは、鶏一匹幸せに出来ないのかって。私に牧場なんて無理だったんだ。ごめんなさい。ごめんなさい。

「いつか、そんな日がくるとわかっていても淋しいものだね」

「…」

「鶏の寿命は長くて五年。この子は短かったけれど、それも仕方ないよね」

いつか、妹にしていたように私の頭を撫でるお隣さん。止まらない涙が地面を濡らした。

「牧場を経営していくなら、避けては通れない道です。淋しく辛いものですが、耐えなければなりません。それが出来ないのなら、」

最前の道を示してくれるカーターさんも、少し困った顔をしている。

「カーターさん、リック。私、もう平気です。牧場に、帰りますね。今日もお仕事、たくさんありますし」



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よーし!リック夢を書くぞー!→鶏が死んじゃった話にしよう!→あれ?→カーターさん夢…?→リック出さなきゃ!→どうしよう、ここから…。→おわり


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