毎日毎日たくさんの人の死を見ていたから気になって、別に深い意味もなくきいてみた。「私が死んだら、元就さまはどうしますか」って。きっと、いつもと変わらない顔して「新たな駒を探すまで」とか言うと思ってたのに。元就さまの目が今まで見たことないくらいに見開かれて、黒目がゆらゆら揺れていた。どうしたんだろう、何を考えたんだろう。元就さまの顔を覗き込むと、勢い良く叩かれてしまった。痛い。すごく痛い。 「貴様、何か病でも患っているのか」 「いや、元就さまめちゃくちゃした後にそんなこと聞かないでくださいよ」 そうだ、今は甘い会話でもしてるはずの時間なんだ。元就さまはもう夜着を着てるけど、私はまだ背中に敷かれているだけだし。 「死ぬ予定でもあるのか」 「死ぬ予定って…そんなのありませんよ」 「ならば…!馬鹿げた事を申すでないわ下衆が」 「げ、下衆って…!何もそこまで……元就さま、泣いてるんですか?」 「誰が!もういっそ死ね!我が今殺してやろう!」 「ちょ、ごめんなさ、ちょ、元就さまごめんなさい!」 ああでも、布団で私をぐるぐる巻きにしながら鼻を啜ってる元就さまが嬉しくて嬉しくて、顔がにやけてしまう。ああ、元就さま、私が死んだら悲しいんだ。あの元就さまが。悲しむんだ。 「ぷはぁ…。もう、本当に死ぬかと思いましたよ」 「ふん。そういう貴様はどうなのだ。我が死んだら如何する」 「え?そうですね…。今すぐ、明日にでも元就さまが亡くなったらすぐにあとをおいます。…もし、私に子があったら、立派に育て上げてから、元就さまのところに。元就さま、淋しいですもんね。私がいなきゃ。」 「まだ足りぬと見える」 「ぎゃっ、ちょ、ごめんなさい調子乗りました!」 ---- 人間味のある毛利が好きです。誰かください。 |