世界中の混乱を避けるためだか何だか知らないけど、どっかの国のお偉いさん方は一週間も前から知っていた事実を今になって世界中の人間は知らされた。タイムリミットまで、後二十四時間。バカにしてんのかちくしょう。二十四時間でただの中学生に何が出来る。学校は取り敢えず休んだ。パパも仕事を休んで、ママと二人で色んなところに電話を掛けてる。私のケータイはしばらくお待ちくださいの表示が出るだけでメールも電話も出来ない。みんな使いすぎ。世界中がパニックになっているとテレビで報道しているアナウンサーもパニックになって涙目だ。そりゃあ、そうだよね。この人にだって家族がいるだろうに。可哀想。 「寿司が食べたいなあ」 いつもどおり流れるコマーシャルにふと呟くと、パパが明日が来たら食べにいこう。なんて縁起でもないことを言うから食べる気がなくなった。ああそう言えば、みんなどうしてるんだろう。学校はみんなもさすがに休んだかなあ。ああでも、部活がしたいからとかで来てるかもしれない。ヒステリックなママの声も聞き飽きたし、学校にでも行ってみようかな。制服に着替える私をママがすごい勢いで止めたけど、ごめんねって笑ったら膝から崩れ落ちて気を付けて帰ってくるのよってママも笑った。宇宙からでっかい隕石が落ちてきて、まず人類の半分が死ぬ。残りはその後くる氷河期で餓死だってテレビから声が聞こえた。だったら私は、隕石にやられたいなあ。長くお腹すいてるなんていやだし、餓死なんてすごい苦しそうじゃん。 「行ってきまーす」 家を出てまっすぐ学校にむかうと、入ってすぐのグラウンドで目当ての人たちがボールを追い掛けていた。あたりはシーンとしてんのに、そこだけいつもどおりで逆になんか不気味。 「元気だね」 「よ!今日はお前もやれよ。ほら、パース」 「マジかよ、私スカートなのに。へい倉間」 「うっわ、お前下手すぎ!はい速水!」 「うわわわわどこけってんですか!」 「はーい速水の負けー」 「なにが負けなんですか」 「ていうか、他の奴らは?」 「神童は家から出してもらえなくて、霧野はニュースの後家族と田舎に行ったって。三国さんはマザコンで、車田さんも家。一年の奴らは河川敷にいるらしいよ」 ほほう。やっぱり普通は家から出られないのか。そうだよな。うん。家もママ泣いてたし。 ----- 力尽きた 人類滅亡ネタってなんだか楽しいよね! |