私の友達のお兄ちゃんは少し面倒くさい。夏になるとやってくる男の子が気に入らないらしく、毎年何かと揉めている。今日だって、友達がその男の子と仲良くおしゃべりなんかしたもんだから友達と喧嘩してグチグチいいながらお酒を飲んでいる。知っててやってるのかわからないけど、ここの二階にはその男の子が泊まってるのを忘れちゃいけない。

「アイツ、ポプリを誑かして、」

「はいはい。カイもそんなに嫌なやつじゃないと思うけどなあ。何がいけないんだろうねぇ」

「…君もカイの味方なのか。この町の女の子が騙される姿を見るのは嫌なんだけどね」

「カイが騙す?あの人、騙したり出来るほど器用じゃないと思うけど。リックだって、ホントは薄々わかってるんじゃないの」

ランちゃんの声にふと振り向くと噂のカイが飲み物が欲しいと降りてきていた。二人とも目を合わせようとはしない。何だろうなあ。ああいう態度がいけないのかなあ。優しくすれば優しく仕返してくれるのに。男の子にも女の子にも変わらず接してると思うんだけどなあ。ほら、グレイとはなかなか仲良しだし…。

「君は、カイみたいな奴が好きなのかい」

「爽やかだしねぇ。でも生活力がないから、この年になると付き合う気はしないかなあ。若けりゃ、一夏の恋にぴったりなんだけど」

「…じゃあ、俺は?」

「リック?」

「うん」

「マザコンとシスコンが落ち着けばなあ。リリアさんもポプリも大好きだから構わないけど、彼女もそれ以上愛してくれなきゃねぇ」

となると、ドクターが一番いいよねぇ。医者だから生活力あるし。でも毒きのこに勝てる気がしないなあ。なんで毒きのこをそこまで愛せるんだろう。…あそこの薬、毒きのこ入ってんのかな…。

「か、家族になったら、少なくともあの二人と同じ、いや、それ以上愛するよ…!」

「え?」

そういうとリックは目の前のお酒を一気に飲んで私に青い羽を押し付けて帰っていってしまった。目を真ん丸くする一部始終を見ていたランちゃんとカイ。それからダッドさんがそれぞれいいたい放題言って、状況が理解できた。

「…今まで何度か人のプロポーズを見てきたけど、ここまで素早いのは見たことがねぇな」

「すっごいの見ちゃった」

「なに、俺はプロポーズのだしに使われたわけ」

…リック、私のことが好きだったんだ。……明日、ポプリに相談しよう。そうしよう。



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酒場でよく鶏のエサを貢いだものです。温泉卵で落とせるから安上がりな男でした。本命はカイだった小五の夏。


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