「何で君がここにいるんだい」

「アーサーに頼まれたの。アルが自炊しないで三食ハンバーガー食べてるから料理教えてやってくれって」

「君の味覚もアーサーと似たり寄ったりなんだから、料理なんか俺に教えられるわけないだろ」

「失礼しちゃうわ。菊にもフランシスにも習ったことあるんだからアーサーよりはましよ。ほら、今日は肉じゃがだよ」

「ジャパニーズフードなら安心だよ」

「はいはい。野菜皮むいて」

「待ってくれよ。俺まだ帰ってきたばっかりで疲れてるんだ。休憩」

「彼女とあはんうふんしてきたの?全く近ごろの若い子は。結婚するまで貞操を守るっていう考えはないのかしら」

「ち、違うよ!だいたい君、アーサーに悪影響されすぎなんだぞ!」

「仕方ないでしょ。アルがいなくなってから毎日毎日アーサーと二人なんだから」

「…ふーん。じゃあ君こそアーサーと毎日あはんうふんしてるんじゃないのかい。二人なんだろ」

「げ。止めてよ気持ち悪い。想像したくもない」

「どうだか。口先だけならいくらでも言えるからね。君はアーサーの言うことならなんでも聞くし」

「育ててもらったんだから言うこと聞くのは、当然でしょ?」

「ふん」

「何をそんな不機嫌になってるの」

「君がバカだからだよ」

「何よそれは。はい、コーヒーいれたよ」

「サンキュー。今日だって君はアーサーに言われなきゃ俺の家になんか来なかっただろ」

「ようがないなら来るなって言ってアーサーを泣かせたのは誰?」

「え、あのおっさん泣いたのかい?」

「わかってるくせに」

「…いや、まさか泣くとは思わなかった」

「あのあとお酒飲んで大暴れして全裸の天使になってアルのばかばかってうるさくてゲロゲロして大変だったんだからね」

「君が、」

「なに」

「はじめから君が来ればよかったんだ」

「なによ」

「君が、俺んとこに来れば、」

「アーサーを一人にしろって?」

「ち、ちが、」

「…アーサーに彼女が出来て同棲始めるって言ったら出てくけど、出来るかなあ。」

「無理だね」

「じゃあ、ずっとあの家にいるよ」

「君は?君はどうなんだい?このままじゃずっとアーサーん家とここの往復だろ。」

「いいよ、それで。はやくアーサーとアルが仲直りしてくれるのを待つだけだから」

「別に、仲直りなんて」

「…アルを彼氏ですって家に連れて帰ったらアーサー泣いて喜ぶよ。アルと本当の兄弟になれるって」

「…なんだい、それ」

「プロポーズ」

「……今の流れで?」

「アル、さっきからあなた私が好きで好きで仕方ないのアーサーに嫉妬してますーって感酷かったよ」

「だって、君たち確かに兄妹だけど血は繋がってないし」

「仕方ないね。血が繋がってないのは。でも、兄妹だし」

「俺と遊んでくんないし」

「アーサーを無下にするからでしょ」

「だって、」

「好きよ、アル。アーサーに言われて理由を作らなきゃ会いに行けないくらい、あなたのことになると臆病なの。好きだから」

「ーーっ!普通、男がそーゆーの、」

「アルは言えないでしょ」

「…学校卒業したら、アーサーん家で、サザエさんやるんだぞ」

「………ああ、そっか、そういうことね。」


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