たぶん、原因はあたしがチャラチャラしてるからだと思う。確かに、化粧は濃いし(素顔が地味なんだよ悪いか)服も派手なのを好むし(今はヒョウ柄がブーム)話し方も砕けてる(育ちが悪いから仕方ない)。彼のお姉さんには真っ黒な顔で「てめぇ見たいな女に大事な弟を渡せるか」と言われて正直泣きそうになった。豆腐メンタルなんだから優しくしてよね。そして彼の上司らしき人物には「こーゆー地味なので遊んでみたい気持ちもわかるけどね。可哀相だから早めに別れてあげてよ」とか言われて本気で泣いた。家で。でも、そうだよなあとは思う。寺子屋こそ一緒だったから今の今まで仲良くしてたけど、あたしと彼は生き方も見た目も何もかも全部正反対だもんね。あたしみたいな自分で言うのもなんだけど、頭悪そうな女があんな誠実そうで純真無垢な彼が釣り合うわけがない。あたし見た目がガバガバでも、まだ処女なんだからね。はじめては彼にあげるって決めてるし。友達に言ったら失笑されたけど。
いまさら、キャラを変えられる気もしなければ頭のいい話し方も出来ないし服の趣味も変えられない。だけど、だけどね?まわりの大人があたしを彼の、新八の彼女だって認めてくれるなら演じることくらいならできる。だって、好きだし。

「と、言うワケで。ちーす」

「ちーすじゃないよ何その格好何その顔!」

デートと言うことで、相変わらず3メートルくらい後ろにお姉さんたちをつけてやってきた新八はあたしの顔を見て失礼にもつっこみ始めた。あたしの前でまで仕事しなくてもいいっつーの。

「えー?似合わないー?なんかぁ、新八のおねーサンこんなん着てたじゃーん。あと、今日のメイクはナチュラルにせめてみましたー。どぉどぉ?似合うー?」

「に、似合うって言うか…。何で急に?いつもの睫毛は?」

「今日はマスカラだけー。目が軽くてびっくりしちゃったよね。いつも三枚重ねてたからさー」

「…ふーん」

「なによ」

なんか、新八機嫌悪いなあ…。お通ちゃん意識したメイクなんだけど、気に入らなかったかな。やるなら完璧になってこいみたいな?コスプレしてこいみたいな?いやだってあたしお通ちゃんじゃないしでも。

「僕はいつものが好きだけど、なんか言われたの?なんかあったの?何でなんも言ってくれないの?いつもの服も化粧も、気に入ってたんじゃないの?なんもなかったら変えないでしょ?」

…新八…。

「…おねーサンとか、銀、さん?とかに、新八の彼女でいいって、言ってもらいたかった。あたし、バカだしあんなんだし、そりゃ、そうだよね?あたしみたいなバカが新八みたいなしっかりした子と付き合うなんて身内からしたら嫌だよね?あたしみたいなのは同じバカっぽいのと付き合ってろみたいな。でも、しょうがないじゃん。新八が好きなんだもん」

黙ってられない性格も、よくないとは思う。だけど、新八に悲しそうな顔されると何でも話しちゃう。だって、新八のその顔、本当に悲しそうなんだもん。

「そんなの、姉上も銀さんにも決められることじゃない。僕が決めることだ。…話してくれてありがとう。今のも嫌いじゃないけど、いつものなまえの方がなまえも楽しそうで僕は好きだよ。なまえの好きな格好をして欲しい。誰の好みにあわせるでもなくて。」

「し、新八ぃぃぃい!!」




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「ああ言ってるけど、どうよおねーサン」
「新ちゃん、立派になって…」
「姐御さっきから新八しか見てないアル。なまえなんて眼中になしヨ」
そんな感じ。

かっちかちの人には正反対のチャラチャラした人。優しい人にはひねくれた人。そんな組み合わせが好きです。新八が好きです。銀魂知った頃は年下だったのにいつの間にか新八より年上ですが、新八が好きです。


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