幸せ過ぎて発狂しそうだった。あの日からあんまり幸せだなとは感じなかったし、世の中全部が馬鹿馬鹿しくて。何で俺は今こんなに、馬鹿みたいに幸せなんだろう。小さなアパートだけど、隣には好きな女がいて笑っている。それから、安いティーバッグの紅茶と手作りの不恰好なケーキ。にこにこ笑うそいつの指には、俺があげた指輪が光ってて。なんだこれ、こんな幸せでいいのか俺。夢?夢じゃないよな。夢か?夢なのか?目が覚めたらあのつまらない世界に戻るのか?どこまで戻るんだ?どっからが夢なんだ?
自分でもわかる程バカなことを考えていると、目の前の女はやさしく笑ってどうしたの?と聞いてきた。だいたい、可笑しいんだ。こんな女が俺を好き?そんなはずないだろ。そりゃ、にこにこしてれば大体騙せることは知ってる。最初はそうだった。だけど、別に今はもうしてない。なのに、俺を好き?本当に俺を好いてくれている?

「ねぇ、」

「ななななな何!?」

「マサキは、たくさん苦労したんだね」

「な、何急に」

「悲しいことも辛いこともいっぱいあったんだね」

「…?」

「だからね、今度は幸せになるばんなんだよ。辛いことを知らない人は、幸せを幸せって感じられないの。マサキは幸せになるよ。私がするんだもの」

なんて男前なセリフなんだ。その言葉に俺の涙腺は崩壊して涙が止まらなくなった。幸せになっていいんだね、俺。


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十歳とか九歳だっけ?狩屋がおひさま園に行ったの。幼稚園入る前ならわからないけど、そんくらいだとよくわかっちゃうから辛いよね。可哀想な子が好きすぎる。


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