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「マイロこれから時間ある?」
「うん、まあまだ午前中だし…キョウコさんにバレなければ問題はないと思うけど。どこか行くの?」
「うん、スーツ仕立てなきゃいけないでしょ」
パーティーの事を他人事のように思っていた舞良は、急に見立てを響にしてもらう約束を思い出した。
そういえば出るかもしれないのだ。
響に連れられるまま、舞良はタクシーに押し込まれ、何処だかしらない洋装店に到着した。
BELTAと書かれたガラス戸を押し開けて響は舞良を招き入れた。
店内は木目調で統一され、スーツやドレスや靴、それに時計などが綺麗に陳列されていた。
ドアのすぐ横にあるレジに立っていた初老の男が、響を見て優しい物腰でお辞儀した。
「いらっしゃいませ、お嬢様」
「こんにちは篠崎さん。言っていた子を連れて来たわ、さっそく始めてもらって構わない?」
「はい、準備は整っていますよ」
舞良は響に引っ張られるように店の奥に連れて行かれて、違う部屋に入った。
そこには大きな鏡や試着用スーツと靴、採寸道具が並んでいた。
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CINDERELLA STORY