舞良は表情も変えず、声にならない驚きを心で叫んだ。

土曜日の状態では確かレンさんと呼んでいた気がするのに、とか、手を出してややこしくするなと言った愛の顔がよぎった。

愛の顔が浮かんだと同時に、金曜の夜に言われた事を思い出した。
"破談になったら、お前に責任が行くから気を付けろよ"

絶対にまずい。かなりまずい。

人生においてここまで危機感を覚えたのは初めてだった。

「そ、それはまたどうしてそんな事態を招いてしまったので、でしょう」
「ごめんなさい、聞いたよレン君から…婚約が破談になったら何でかマイロが責任負う事になるって…」
「ナナナニがあったのか順を追って話してゴラン」
「こんな時に不謹慎だけど、その動揺の仕方、凄く面白いわ」

響はふっと笑い、それから事の顛末を話し始めた。


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