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舞良は朱里の事ばかり見ていてすっかり忘れていた。
今夜は愛と響の婚約発表もあるのだ、響は恋を望んでいるのに。
恋も同時に響の婚約者には自分を望んでいて、その為に無理やり愛を越えたのに。
今夜発表してしまえば、愛と響の婚約は明確な物になってしまう。
響は舞良といる間その事を一言も口にしなかったが、今どんな心境でそれを待っているのだろう。
自分の事ばかりで助けてくれた響の事をそっちのけにしているなんて、なんて薄情な友達だろうか。
「…恋人がいるの?」
続きを言わずに黙り込んで考え事をしだした舞良に、朱里は思い付いた続きを言って舞良の意識を引き戻した。
「いや…違う、けど俺を好きだなんて事は本当にないよ」
「じゃあ…あなたがナリちゃんを好きなんて事はない?」
何でそうなるんだ!
舞良が好きなのは自分だと知っている筈なのに、朱里はどうしてそんな事を聞いてくるのだろうか。
もしかして…告白を催促しているのかな。
「ナリは好きだけど、友達としてだよ」
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CINDERELLA STORY