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目元は涙型のラインストーンを貼って蝶を形作り、胸元はパックリ開いてるチュチュのようなドレスをまとっていた。
肘上まである黒い手袋を付けていて、黒いハンドバッグを持っている。
教えてもらわなくても、朱里の仮装が蝶である事がわかった。
目のやり場に困った舞良は目を見る事も出来ず、朱里のエナメルのヒールに目をやった。
「…やっぱりメールの…人なの?」
「えっ?」
朱里のセリフに驚いて、舞良は顔を上げた。
ぼんやりと呆けていた朱里は、舞良の頓狂な声で我に返り、口を手で覆った。
「ご、ごめんなさい!私…見たら誰なのか分かると思ってたからっ…!」
「あの、何か変かな?さっきカフェのお客さんにも…何か言われて」
二人はお互いにあたふたした。
「全然変じゃないよ!多分それはあなたが凄く…」
凄く…?
朱里はその先を言わずに、縦に視線を動かして舞良の全身を見た。
じろじろと見られて舞良は次の言葉を出すのに手間取った。
「あ…じゃあ、会場行こうか…」
「うん」
舞良が手を出すと、朱里は口に当てていた手をそこに乗せた。
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CINDERELLA STORY