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ホテルの入口はガラス張りで縁は金色の回転ドアだった。
中の様子が見えたが、遥か彼方のカウンターより手前にある噴水を意識し過ぎてうつ向いて中に入った。
目を反らした先にあったカフェにいるお客と目があった。
眼鏡も前髪もない状態では開け過ぎていて、恥ずかしくなって目を反らした。
心無しか目があった人は一緒にいた人に何か話していた。
自分の話をしているのではと思い、舞良は急いでその場を逃げて噴水に走った。
入った方からは見えなかった反対側に、ドレス姿の女の子がいた。
普通に考えてパーティーはもう始まっているし、噴水の周りにいるのはその子だけだったら間違いないのに、それが朱里だとは一瞬気付かなかった。
走ってたどり着いた舞良は息を乱したまま、その朱里とおぼしき人を見て固まった。
女の子は舞良に気付くと振り向いて、立ち上がった。
しばらく沈黙が流れて、お互いに相手を凝視した。
顔を見ればそれは間違いなく朱里だった。
響の言っていた事に得心した。
「…ま、待たせて、本当にごめんね」
可愛いいつもの朱里とは打って代わり、今の朱里は物凄く艶やかで、何よりセクシーだった。
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CINDERELLA STORY