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「俺…これでいいのかな?」
「何言ってるの、普段のマイロからしたら立派な仮装よ。王子様とかの」
響はクスッと笑った。
多分今のは誉め言葉ではない。
「…じゃあ女の子は?」
「妖精とか天使とか可愛らしいのばかりよ」
「そう…」
舞良は天使の羽が生えた朱里を想像して、思わず笑顔になりそうで口を押さえた。
似合い過ぎだ、そんなの。
本物の天使?
「何笑ってるのマイロ、アカリは別にバニーガールの格好なんかしてないわよ?」
「そんなのは想像してない!」
「そんなのは?じゃあ何想像したのよー、正直に吐きなさい」
響はニヤニヤ笑う口を片手で押さえて、もう一方の手で舞良をつついた。
舞良が赤くなって黙秘すると、丁度リムジンは停止した。
響はスパンコールで描かれた花柄のハンドバッグを持ち、運転手が開けたドアから外に出た。
緊張しだした舞良がそれに続くと、響はほくそ笑んで舞良を見た。
「何を想像したかは聞かないけれど、自信があるわ」
「何が?」
「そんな想像は軽く越えるって」
響は階段を上りながら舞良に言った。
私は先に行くわと言って響は駆け足でホテルに消えて行った。
舞良が腕時計を見ると8時を過ぎていた。
待ち合わせから1時間も経っている。
綺麗な腕時計の縁を指でなぞって、舞良は息を吐いた。
気合いを入れて、舞良は階段を上った。
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CINDERELLA STORY