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自室に戻って、洗面台前の椅子に座った舞良は洗面台に座っていたせリムを撫でて息を吐いた。
「危なかった…」
舞良はポケットから携帯を取り出して開いた。
予想通り、画面には"受信一件 赤羽朱里"と表示されていた。
《何年か前に失恋したんだけど、凄くショックを受ける事だったの。
恥ずかしいけれど引きずってしまって、恋愛は今でも怖い。
その時、巻き込んでしまった人とあなたの教室で目が合って…彼にはとても悪い事をしたと今は反省しているのだけど、謝るのはまだ気まずいの。
もう5年も経つのに、本当に悪い事してる…》
舞良はメールを読みながら、無意識に顔を綻ばせていた。
朱里は舞良に対して未だに怒っている訳ではない、ただ気まずかっただけなのだ。
朱里の反省の色は舞良には濃すぎると思える程だった。
悪いのは愛だと、ようやく確信出来た。
むしろ未だに朱里に大きな傷を残しているのに悪びれない愛に更なる憤りを覚えた。
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CINDERELLA STORY