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もしバレたらどうなるだろう。
舞良が楽しんでる事が気に入らない人種というのが大前提にあるので、いい結果にならない事だけは確かだった。
「貸せ、俺に取り出させる気か?お前のポケットに手を入れろと?」
「…」
そんなの穢らわしいとでも言いたげで、圧される言葉に舞良は折れ、ポケットに手を掛けた。
そこで玄関で物音がして、舞良も愛も視線をリビングの入り口に向けた。
予想した通り、その日最後の帰宅者の清子が入って来た。
清子は舞良を見るなり目を細めた。
「何、見てるのよ。私を不快にさせたいだけなら今すぐ部屋に行きなさい!」
愛の言った言葉で折れた心には更なる衝撃を与える言葉だったが、今の舞良には救いだった。
愛は舞良から離れて事も無げな顔をしてテーブルに座り直した。
パソコンを閉じて麺を口に運び始めた。
舞良は愛から解放されて直ぐに階段をかけ上がってその場から逃げたので、清子がそれをどのように見ていたかは確認しなかった。
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CINDERELLA STORY