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愛は鞄からパソコンを取りだして、何かを始めて、舞良がカルボナーラをテーブルに出す頃には額に手をやってため息を吐いていた。
その姿は清子にそっくりだった。
画面をチラッと覗くと、ワードでレポートを書いる様だった。
宿題か進学に必要な物か、舞良にはチラ見で理解出来る内容では無かった。
その時、舞良の携帯がポケットで震えた。
常にマナーモードの携帯なので音は鳴らなかったが、近距離で震えたバイブの音は愛の耳に届いた。
舞良はとたんに硬直して逃げようとしたが、同時に愛は片眉を上げて怪訝そうに舞良を見た。
「携帯鳴ってるぞ、マイロ」
「あ…はい」
「…何動揺してるんだ、お前」
「いえ…あの」
「そのメール、誰かバレたら都合が悪いのか?」
都合悪すぎるわ!
今間違いなく愛の話を書いたメールをあの朱里が送って来ているのだ。
こんなに時間が空いてるという事はかなり詳しく書かれているのではないのか?
愛に見られたら何が起こるかまるで予想出来ない。
「違います、そんな事は…」
「その言い訳は"はいそうです"って言ってるようなもんだぞ。携帯を貸せ」
愛は楽しそうに立ち上がって、舞良の肩に手をかけた。
身長は同じくらいなのに舞良は遥か頭上から見下ろされているかの様な威圧感を感じだ。
舞良は震える手を握りしめて戒め、停止させて、命令する愛に抵抗した。
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CINDERELLA STORY