Wingsがそれとして集まった事は奇跡に近い、隼人はそう思っていた。

同じテーブルを囲み、レイチェルの入れたセイロンティーを斗師と三人で談笑しながら飲む。斗師と隼人の昔話をレイチェルが尋ねてきたから話していたが、懐かしくて笑ってしまう。
すぐ隣ではロイと双子のナイトとルークが舌を噛みそうな長い名前の化学物質について議論している。ロイはその物質でどのような薬が作れるかを話し、双子はその物質でどのようなイタズラグッズが作れるかを話していた。
リュックは皿洗いをさせられてる事に文句を言っていた弟のハワードを叱りつけている。ハワードは口煩い姉に水をかけて、リュックはそれに対抗して泡をハワードの顔に付けた。二人は結局笑いながら一緒に皿洗いをしていた。
サニーは隅っこに座って音楽を聴いていたレインの膝に乗り、私にも聴かせてとせがんでいた。レインはヘッドフォンをサニーに着けて、ニコニコして曲を聞いてるサニーの背中を撫でている。

家族だと思えた、ここが家だと思った。

隼人は昔この身に感じていた優しい家族を思い出していたが、もう戻らない、家族は永遠に失われたとそう思っていた。
こんな形で、再び家族に囲まれる事があるなんて。

優しいオレンジ色の空気が漂い、誰しもが微笑み、その全員を家族と思って止まない。愛なんて言葉では表現しにくい。
隼人は一度失った家族を、もう一度まで失う事は何に変えてもさせないと誓っていた。

想うと泣けてしまう。
あの日、斗師に出会え、名前が隼人になった日から今日のこの瞬間までの全てを、奇跡以外の何と呼べるのか。


プロローグ



written by ois







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