ハワードが七面鳥の着ぐるみを着ていた。鶏冠と嘴を付け、お尻の可愛いモコモコの着ぐるみ。生気のない目をしてこっちを見てる。

「ハワード…お前どうしたんだ…誰がそんな酷い事を…?双子か!」
「ハワード?誰だそれは。俺は七面鳥だ。七面鳥のヨーセイだ。」

どーしよう。精神崩壊でも起こしたのか、淡々とハワード、もとい七面鳥の妖精は語っている。
椅子に座って羽根(手)をテーブルについて顎をのせた。深いため息を吐いて、明後日の方を向いている。

「この部屋…何でこんなにキラビヤカなんだ…?眩しいなあ。」
「これは…サニーがやりたいって言ったから、クリスマスの飾り付けだ。」
「クリスマス!!ハッ!」

七面鳥の妖精は目を剥いて声を張った。

「毎年やって来る大残虐の日だろう…七面鳥を!人間という人間が寄ってたかって貪り食う…その酷さ…恐ろしい種族だ、人間め…」
「な…なんかすまん」
「羽根を抜いて…皮を剥ぎ、内蔵を抜き取って代わりに葉っぱを詰めて油を塗りたくりオーブンで焼く…おぞましい…」
「う…うまそう…」

ハワード、もとい七面鳥の妖精は俺の肩を羽根をがっつりと掴んだ。椅子に座っていた俺を上から凄まじい形相で睨みつけると低い声で嘴の隙間から喋った。

「それを人間で考えてみろやぁ…お前の髪や毛という毛を抜き頭は切り離されて内臓の変わりにローズマリー詰め込んで油塗ってオーブンで焼いた挙げ句に手足をまずもぎ取って美味しく食べてやろうかおらあああ!!!」
「ギャー!!!!」







「って言う夢を見たんだ。」
「殺スゾ大将。変な夢に俺を出すな」

クリスマスの朝、目覚めた隼人がみんなに報告すると、ハワードが血管を浮かび上がらせて隼人の胸ぐらを掴んだ。

「さー、七面鳥が焼けたわよー」
「わーい!サニーいちばんおいしいところー!」

隼人は切り分けられた七面鳥の足を見つめてぼんやりした。
ああ…人の足(しかも俺の足)に見えてきた。食べられない、食べられないよ菜食主義者になろう。

「おいっしー!サニーもっとたべるー!」
「…」

やっぱやめた。どー見ても鳥の肉、どー見てもクリスマスの御馳走。
鳥族は鳥と友達になりがちだが、食用とは話が違う。

「いただきます!」

この挨拶で後腐れなしだ!死んだ全ての鶏肉よ…安らかに…。

「七面鳥うっまー!」

七面鳥の妖精



携帯が壊れてた時にルーズリーフに30分くらいかけて書いた話です。お気に入りです。夢オチ大好物です。
ハワードの言う大将が、微妙だ、と思いつつ結構気に入っています。
written by ois







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