遠くの方で国歌が聞こえる。少しずつ移動してる。しかしこの廃屋に人がいるとは誰も思わないだろう。
私の火傷でただれた皮膚は、おそらく腐っているだろう。酷い臭いがするが痛みはもう忘れていた。それに臭いのもとは私じゃなくて、隣に横たわっている、ノーランからする物かもしれない。

1週間前、全ての水と食料が底を尽きた。

25年生きた命、それも惜しくはない。
私は戦争なんていう下らない物に、死にはしない。そこに誇れる物などない。思い出も、喜びもない。
その中に、一つだけ誇れる物を見出だすなら、それは隣に眠る青年だった。敵兵のノーランが生きていた事を、心から誇りに思った。
何と美しい青年だったのだろう。

今は再び、死別した二人の弟に距離を感じ無かった。私はそれが嬉しいのだ。今、すぐ側にいる。

私はノーランの腐った左腕を動かし、私の心臓の上に置いた。私も右腕を伸ばしてノーランの胸の上に置いた。

私は空いている左手で銃を握り、銃口を口に入れて引き金を引いた。

戦場で再会した副産物の誇り(die)



銃声で終わる話は好きです。
最後にレヴィット軍曹は、二人の弟といいつつ、ほとんどクリスを忘れてる…二人の弟というより、二人分の弟がノーランにいる感じです…ね。
まあ、よくわかりません。
タイタニックみたいに助けられた命を死ぬ気で延命させるのが正解かもしれない。でもただ生き延びる事が、正解だと私は思えません。
私ならジャックと一緒に死にましたって話です。

written by ois







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