叔父さんはとにかく白かった。白人なので当たり前といえば当たり前だけど、母さんは並みに白く髪はブラウンなのに、叔父さんは髪まで白かった。生まれながらに白髪で、日光にはめっぽう弱かった。色素欠乏症らしいが詳しい事は知らない。
昼間外に出れないため学校には通わず、自宅で学習していた。友達も出来るはずなく、親友は幼い頃曾お婆ちゃんにもらったテディベアのジャックだった。

「久しぶり、叔父さん」
「ロゼ!随分日本語が上手くなったな」
「こっちに住んで何年経つと思うの」
「あはは、それはそうだな」
「聡は?」
「今はまだ学校、まだ2時だぞ?」
「あ、そっか。普通に学校行ってるんだ」
「そうだなー、一応精神科医には来てもらってるがこれと言って病気ではないらしい」
「自分の腕を切り裂くなんて…バカな子」

従兄弟の聡は叔父さんの人見知りな性格を1%も受け継がずに、世渡り上手に生きてそこそこな学力を携えて友達も沢山いる活発な子だと思っていた。そんな従兄弟が学校で腕を自分で切ったと聞き、駆けつけたのだ。

「ロゼ、これは99個のネジ少年だと思うんだよな」
「似てるけど…それ叔父さんが考えた話じゃないの?」
「そうだ、だから自分の息子が現実に!」
「じゃあ少年を助けるのは通りすがりの女の子だね。女の子探す?」
「なんだそれ、おもろげ!」
「オモロゲって何」
「スラングだ。ごめん」

私も叔父さんもまだイギリスに住んでいた18年前、叔父さんは仕事で成功したけど友達は相変わらずいなくて、夜になると必ず私達の家に忍び込み、幼かった私にお話を一つしていた。最終的にはママに見つかって「イザベラ怖い」と言って帰っていくのがオチだった。
99個のネジ少年は何度も聞いたストーリーだった。あの頃は何度もその話をせがんでいたが、今となれば変な物語だ。

「明日聡借りるね」
「息子を弄ばないでくれ」
「従姉弟でデートくらいいいでしょ」
「門限は10時だからな!」
「…いつか絶対聡に疎まれるわ…」



聡の救世主は将来間違いなく恋人だ。探ってちゃかさないと気が済まない。可愛い従兄弟を愛でるくらい許してね、スティーブ叔父さん。


語り手は乳白色



written by ois







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