最後のこの世をどれにしようかと思い巡らしたが見るに同じ色しかないこの個室はどこを見ても同じだった。見納めは真っ赤でいい。自分の血。どうせ嫌でも見る訳だしそのあと死ぬんだったら見納めを自分で決めようとはナンセンスじゃないか。自分の血液で決定。さて、その自分の肌を切る道具だが何処で手に入れたかというと穴からだ。違う、空腹を覚えるとタイミングよく食料が入って来る小さなな窓の事ではない。あそこから入ってくるものは取り外しできないし、食料は手掴みで食べれるものだからナイフもフォークも無い。栄養バランスがいい上に美味い食料は私には待遇が良すぎる。吐き気がするじゃないか、やめてくれよ。まあ、食べるのだけど。もう体に染み付いた習慣の一部だから。とにかくそこからじゃない、壁にある穴からだ。看守は知らない。誰とも知り合えないはずのこの刑務所。孤独さが罪に対する罰な訳だ。なのにその罰を軽減してる私はもっと罪深いだろうか。

受け取ったギザギザした刃物で私はこの肌を肉を裂いて、さあ死のうじゃないか!




4028が男なのか女なのかは結局分からない。4028も私の性別を知らない。4028は名前を教えてくれたが本名かは分からない。色々話しをしたがあまりにも膨大な量の為、覚えてるのは4028はここに来る前はニューヨークに住んでいて、恋人を殺したと言う事くらいだった。そう、かなり頻繁にその話はするから忘れていても覚えてる事になる。

一度も触れた事はないけど私は4028を愛してた。


汝、隣人を愛せよ



written by ois







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