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龍司
「彼はこの世に存在しないことになっているんだ」

晴子
「え…?」

龍司
「麗華君の母親は彼を産むと同時に亡くなってしまったんだ。そして父親の後妻に入った母親に存在を消されてしまったんだよ」

晴子
「………」

龍司
「話せない・読み書きが出来ないは彼が消された証。それは彼が四宝院麗華本人であるという事だ。この件は僕の手に余る。今、頼れるところに連絡をつけてみるから少し待っててね」


 そう言って龍司は足早に去っていった。


 大変な事に巻き込まれてしまったかもしれない…。


 血の気が引いていくような感覚になる。ふと隣を見ると麗華がストローを甘噛みしていた。


晴子
「………。わたしのジュース飲みますか?」

麗華
「…!」コクリ

晴子
「どうぞ」クスクス


 嬉しそうにオレンジジュースをのむ麗華に不安が一気に消えていく。


 しばらくすると龍司が戻ってきた。何故か出掛ける準備をして。


龍司
「お待たせ晴子ちゃん。ひとつ確認なんだけど、麗華君のこと警察には?」

晴子
「あ、通報しました」

龍司
「だよね〜。時間が無い。ふたりとも一緒に来てもらうよ」
 晴子と麗華は言われるままに車に乗せられる。


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