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レイカを変な方向で知っている人の目を気にして帽子と黒縁メガネとマフラーで軽く変装をさせる。
マフラーは顔が埋まるように巻いたためレイカは若干苦しそうにしているが、そんな事は言っていられない。
自分の支度を済ませた晴子はレイカの手をひいて家を出て、呼んでいたタクシーで弁護士事務所へと向かった。
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【神部法律相談所】
弁護士
「いらっしゃい、晴子ちゃん」ニッコリ
晴子
「急にすみません。他に相談できる人いなくて…」
弁護士
「構わないよ。さ、どうぞ」
晴子
「お邪魔します」
応接スペースに通され、とりあえず苦しそうなレイカの変装を解いてやり上着を脱がせる。
そこへ飲み物を持って弁護士が戻って来た。
気のせいだろうか。弁護士は少しだけ顔をひきつらせた。
弁護士
「…それで、相談って何かな?まぁ、なんとなく予想はついてるけど」
そう言ってレイカを見やる弁護士。
レイカはじっと目の前に出されたオレンジジュースを見つめていた。
晴子
「それは"どうぞ"って出されたものだから飲んでもいいんですよ」
晴子が"いいよ"と言ってやっと飲み始めるレイカ。
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