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 美少年は寝ぼけ眼で晴子をぼんやりと見つめるだけ。


晴子
「…わたしの言ってること…わかります?;;;」

美少年
「………」コクリ…

晴子
「あ、それはわかるんだ…。じゃあ、喋れますか?」

美少年
「………」ウウン…


 晴子から視線を外さないで首を横に振る。

 言葉は理解出来るが話すことは出来ないらしい…。


晴子
「…あー…自分のこと…は、わかりますか?;;;」

美少年
「………」

晴子
(…あれ…止まった…;;;)


 厭な予感しかしない…。



美少年
「………」ウウン…



 美少年は少し考えてから首を横に振った。話せない上に記憶喪失。

 最悪の状況。


晴子
「な、名前…名前は?;;;名前はわかりますか?;;;」ドッドッドッドッ

美少年
「………」キョトン

晴子
「なんて呼ばれてかわかりますか?;;;」


 反応の無い美少年に変な動悸が晴子を襲う。


 しばらくの無言の後、美少年はゆっくりと頷いた。



《わかる》



晴子
「!ホント…!?良かった…」ホッ

美少年
「………」

晴子
「じゃあ今、紙とペンを」


ぎゅ。


 紙とペンを取りに立った晴子を美少年が引き止める。

 どこまでも厭な予感しかしない。

 このタイミングで引き止めるイコール…。


 晴子は自分を落ち着かせながらゆっくりと振り返った。
 

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