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晴子が目を覚ましたのはお昼過ぎ。美少年はまだ眠っている。よほど疲れ切っていたのだろう。
これからどうしようかと掴まれた手を見ていると、ふと祖母が亡くなった時の事を思い出した。
祖母は遺言書を弁護士の人へ預けていたのだ。
晴子
「あの弁護士さんなら…どうしたらいいかアドバイスしてくれるかな…」
ふと美少年に目を向けた晴子の視界には首輪が入った。
風呂では必死だったので気が付かなかったが、明らかにオシャレアイテムとは違うソレは「これは〇〇の所有物だ」と言わんばかりの存在感だ。
自然と晴子の手はソレに伸びて首から外した。首は長いこと付けていられたらしく擦れて皮膚が黒くなっている。
晴子
「…」
美少年
「……」パチ…
晴子
「…あ…おはようございます」
目を覚ました美少年。回らない頭でここはどこなのかを考えているらしい。
晴子
「…名前…なんていうんですか?…」
美少年
「………」
晴子
「わたしは宮下晴子といいます…」
美少年
「………」
晴子
「…あの…;;; 名前…;;;」
美少年
「………」
まさか………;;;
晴子
「…もしかして…しゃべれない…?;;;」
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