下書き

 宮下 晴子(みやした はるな)、18歳。新社会人。彼女は日々町の小さな工場の事務所で一生懸命働いています。

 両親は幼い頃に飛行機事故で他界。遺体は発見されず、彼女に遺された物は両親が並んで写るたった一枚の写真だけ。

 あまりに幼かった彼女には両親の記憶も思い出も何も無い。

 そんな彼女を母方の祖母が引き取り育てた。

 しかし、祖母も彼女が高校を卒業するのを見届けると静かに息を引き取った。

 今の彼女に遺された物は祖母との温かい思い出とそんな思い出をたくさん作った祖母の家―。

 物語には有りがちな悲劇のヒロインな人生の彼女と思い出の詰まった祖母の家の目の前にそれは落ちていた。


 巨大なボロ雑巾。


 もう他に例えようが無い程にボロ雑巾なそれは、恐る恐る覗き込めば人の頭が見えた。


晴子
(…っし、死体!?…警察!?救急車!?なんで!?)パニック


 ショッキングな落とし物にテンパっているとボロ雑巾が微かに動いた。


晴子
「!生きてる…!?どうしよう!?…!!」ギクッ

ボロ雑巾
「………」



目が…合った……;;;


ばっちり合った……;;;

晴子
「あ…えっと…大丈夫…ですか…?;;;」シドロモドロ…


 ボロ雑巾は虚ろに晴奈を見つめるだけでぴくりともしない。これはとても面倒臭そうな予感…。
 


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