それは突然に‐001

 宮下 晴男(みやした はれお)、18歳。新社会人。彼は日々近所のコンビニで一生懸命働いています。

 両親は幼い頃に飛行機事故で他界。遺体は発見されず、彼に遺された物は両親が並んで写るたった一枚の写真だけ。

 あまりに幼かった彼には両親の記憶も思い出も何も無い。そんな彼を母方の祖母が引き取り育てた。

 しかし、祖母も彼が高校を卒業するのを見届けると静かに息を引き取った。

 今の彼に遺された物は祖母との温かい思い出とそんな思い出をたくさん作った祖母の家―。

 物語に有りがちな悲劇のヒロイン的な人生の彼と思い出の詰まった祖母の家の目の前に"それ"は落ちていた。


 巨大なボロ雑巾。


 もう他に例えようが無い程にボロ雑巾なそれは、恐る恐る覗き込めば人の頭が見えた。


晴男
(…死体?人形?ナニコレ…)


 ショッキングな落とし物を夜勤明けの重たい頭で眺めていると微かに動いた。


晴男
「あ、動いた……っ!?」ギクッ

ボロ雑巾
「………」



目ぇ…合っちゃったよ……;;;


ばっちり合った……;;;



晴男
「あー…えっと…大丈夫、か…?;;;」シドロモドロ…


 ボロ雑巾は虚ろに晴男を見つめるだけでぴくりともしない。これはとても面倒臭そうな予感…。
 


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