その少年‐008
龍司
「彼はこの世に存在しないことになっているんだ」
晴男
「は?」
龍司
「嶺華君の母親は彼を産むと同時に亡くなってしまってね。何年かして父親の後妻に入った母親にその存在を消されてしまったんだよ」
晴男
「………」
龍司
「話せない・読み書きが出来ないは彼が消された証。それは彼が四宝院嶺華本人であるという事だ。この件は僕の手に余る。今、頼れるところに連絡をつけてみるから少し待っててね」
そう言って龍司は足早に去っていった。
大変な事に巻き込まれてしまったかもしれない…。
血の気が引いていくような感覚になる。ふと隣を見るとゆうずき改め嶺華がストローを甘噛みしていた。
晴男
「………。俺のも飲むか?」
嶺華
「…!///」コクリ
晴男
「どうぞ」クスクス
嬉しそうにオレンジジュースをのむ嶺華に不安が一気に消えていく。
しばらくすると龍司が戻ってきた。何故か出掛ける準備をして。
龍司
「お待たせハレ君。ひとつ確認なんだけど、嶺華君のこと警察には?」
晴男
「! あ、そーいやしてません;;;」
龍司
「ナイス天然。今は警察は敵だと思っていて。ふたりとも一緒に来てもらうよ」フフ
晴男
「Σ!?」
かくして晴男と嶺華は言われるままに車に乗せられた。
その少年_終
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