その少年‐007

 ストローに口を付けた瞬間ビックリした顔をしたゆうずきは凄い勢いでオレンジジュースを飲む。初めて飲んだのかもしれない。

 そんなゆうずきをよそに、晴男は今までの経緯を龍司に話した。


龍司
「…記憶喪失で話すことも読み書きも出来ない、か。困ったね」

晴男
「あ、でも名前はなんとかわかったんすよ」

龍司
「…ちなみに?」

晴男
「"ゆうずき"です。変わった名前すよね」

龍司
「…やっぱり…」ポツリ

晴男
「? やっぱり?」


 心当たりがある顔で「やっぱり」と呟き、顔をしかめた龍司。


龍司
「…わかったよ彼の事。正確には予想が確信に変わった、と言った方が正しいかな」

晴男
「え?」


 龍司は至極困った顔をしている。


龍司
「とりあえず最後まで聞いてくれるかな?」

晴男
「? はい」

龍司
「まず、彼の名前は"四宝院 嶺華(しほういん れいか)"君。年齢は15歳、四宝院グループの御子息だよ」

晴男
「……え…」



四宝院 嶺華…?


凄ぇ名前…。


つーかなんで"男"ってわかって…。



 凄い名前と実は財閥のお坊ちゃまという情報に晴男の頭は白く染まっていく。

 が、龍司の言葉が飛びかける意識を呼び戻す。


 


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