006
お兄さん
「…わかった」
絢奈
(!…捻った足を庇ってくれてる)
お兄さん
「行くか」
酒樽を降ろし、両手でゆっくりと絢奈を降ろしたお兄さんは捻った足に体重がかからないようにと大きな手で身体を支えていた。
オッサン@
「さぁさ天女様!早くこちらに…」
絢奈
「………」
オッサン@
「天女様!!」
オッサンA
「鬼が怪しい術でも掛けとるのじゃろ!!もっと矢を打て!!」
や?
まさか…!!
オッサン達の方へ顔を向けると弓矢をお兄さんへ向けて構えていた。
痛む足首など気にも留めず、絢奈はお兄さんの背中側へと回り込む。
絢奈
「!!!」ギクッ
お兄さん
「余り動き回るな。傷に障る」
絢奈
「ハァッ!?バカなんじゃないのッ!?私の足なんかよりあなたの背中のほうが重傷じゃないッ!!」
お兄さん
「大事無い。この程度の傷などすぐに治る」
絢奈
「!」イラッ
お兄さんの背中、というか左の肩の近くに一本の矢が刺さっている。さっきの鈍い音と振動はこの矢が刺さった衝撃だった。
そしてそれはお兄さんがとっさに絢奈を庇って受けた傷だ。
オッサンA
「天女様!!」
絢奈
「黙れバカ共ッ!!」ガッ
オッサン達
『!?』ビクッ
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