018
どうしてこんなに哀しい顔をするんだろう…。
どうしてこんなに強がっているんだろう…。
本で読んだ《茨木童子》と全然違う…。
絢奈
「………」
茨木童子
「あぁそうだ」
絢奈
「?」
茨木童子
「アンタの着物。…何がいいかねぇ…」ゴソゴソ…
違うねぇ、と呟きながら次々と着物を引っ張り出す茨木童子。
その後ろ姿に「何だか誤魔化された気がするなぁ」と思った。
茨木童子
「あ、コレなんか良さそう」ウン
絢奈
「ずいぶんたくさん着物持ってるんですね」コンモリ…
茨木童子
「これぐらいしか楽しみが無いからねぇ。帯と紐はこれかしらねぇ…あとは、髪飾り…と」
程なくして戻って来た茨木童子の手にはこれまた艶やかな着物と帯、金糸の編み込まれた帯紐に桜の髪飾りが。
そして絢奈の側に寄るといきなり着付けを始めた。
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