014

お兄さん
「目が覚めたか」

絢奈
「Σわぁっ!?;;;」ビクッ

お兄さん
「熱はどうだ…」スッ

絢奈
「…!?」


お兄さんの大きな手が絢奈のおでこに触れる。



あ、あれ?



絢奈
「お兄さん、手どうしたの?」

お兄さん
「手?」

絢奈
「緑色に染まってるじゃん」

お兄さん
「あぁ、薬草を揉んだからな。それの色だろう」

絢奈
「薬草ってこれ?」


おでこからもっちゃり落ちてきた草の塊を見せるとお兄さんは頷いた。


お兄さん
「熱を下げるのに良いと聞いた事がある。夜中急に熱が上がったのでな」

絢奈
「そうなんだ…ありがとう」

お兄さん
「さて、起きて早々に悪いが。移動しよう」

絢奈
「いいけど…なんかあるの?」

お兄さん
「いや、朝餉だ。それから昨日からあまり良くない気配がしている。移動しないと面倒事になりそうだ」

絢奈
「そうなの?昨日のオッサン達?」

お兄さん
「違うな。もっと厄介な奴だ。ふたつは人間、ひとつは人外のモノだろう」

絢奈
「人外って妖怪?」

お兄さん
「わからない」


お兄さんはそう呟くと、絢奈に掴まるように言って抱きかかえて廃寺を後にした。

のそりのそりと山道を進むお兄さん。良くない気配を気にして緊張しているのか、その身体は少し強張っている。
 

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