001

私は久瀬 絢奈(くぜ あやな)、20歳。


なぜだろう。


私は今追われている。


たくさんの男…いや、オッサン達がわけのわからないことを叫びながら追いかけてくる。


でもって、何をしたわけでもないのに私はとりあえずオッサン達から逃げている。


 履いていたヒールを手に持って慣れない山道をひたすら走る。


元陸上部員をナメんなよ。



 ムキになって山道を駆け上がっているといつの間にかオッサン達は居なくなっていた。


 たどり着いた大きな木に手をついて息を整える。


 溜まった疲れを吐き出すようにため息をひとつついてあてもなく歩き出す。



とりあえず状況を整理しよう…。


ここどこ?


あのオッサン達はなに?


てゆーかオッサン達がしきりに叫んでいた《てんね》とか《てんの》ってなに?


私さっきまで飲み会に参加してたよね?




ガッ。



え…?



絢奈
「Σわぁっ!!?」



どしゃっ…!!!



 ぐるぐると考えているうちに目を閉じて歩いていた私は何かにつまづいて派手に転んだ。



絢奈
「ったぁ〜…あー…血が出てる…。もうなんな…」ギョッ



 引っかかった物に八つ当たりをしようと振り返った私は、ショックで心臓が止まりそうになった。
 


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