017
茨木童子が行くなら早く行けと手をひらひらさせるとお兄さんはゆっくりと筍掘りへと出かけていった。
庵の中には絢奈と茨木童子のふたりだけ。
茨木童子
「………。アンタ、アレが怖くないのかぇ?」
絢奈
「Σ!!え、と…怖くないです…;;;」ドキドキドキ…
茨木童子
「なのにアタシは怖い」フゥン?
絢奈
「ご、ごめんなさい…っ;;;鬼の女の人って…それだけでなんだか怖くて…;;;」アアアア…;;;
茨木童子
「アッハッハッハッ!そうだねぇ!鬼女なんてぇのは大体が怨鬼だからねぇ」クスクス
絢奈
「でも…」
茨木童子
「んー?」ククク
絢奈
「あなたは違う。怨鬼ではないです…よね」
茨木童子
「いーや、怨鬼だよ。アタシはアタシを棄てた親を、変な期待をしてた育ての親を怨んだ」
絢奈
「でも…」
茨木童子
「何を根拠にそんな事を言うのかは知らないけど、アタシは元々人間だったんだ。アタシの親はアタシが少し周りの人間と違ったというだけで鬼と決め付け棄てたのさ」
絢奈
「………」
茨木童子は話しながら顔を歪める。その表情は怨みではなく哀しみの顔だった。
他と違うだけで気味悪がられ、棄てられ…。拾われたと思いきやそこでも気味悪がられた。
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