胎動篇《二》ー003
じゃ、寝るかと二人で布団を並べて敷く。
月子
(…あれ?わたし今日姉さまと寝るのかな?…姉さまにつられておふとんまで一緒に敷いてるけど…)ハテ…?
月子は布団を敷きかけ掛け布団を握り締め、中腰のまま宙を真顔で見詰める。
じっと。
じーっと。
綾狐
「ぷっ…くっくっくっ///」
月子
「Σ!///」ハッ
綾狐
「どうした?急に」クックックッ
月子
「いえ、あの、わたし今日、姉さまと一緒に寝てもいいんですか?///」
綾狐
「ずっと一緒だ。母上は千代と千歳の部屋に居るよ。彼奴等は母親を知らない。甘えたいンだろうな。お前には悪いが」
月子
「いいえ!お母さんもきっと嬉しいと思います」ウフフ
綾狐
「そうか」コクリ
豆太郎
「ぷっ!」
月子
「豆!…あれ?」
綾狐
「どうした?」
月子
「豆、なんだか毛が綺麗になってふわっふわでいい匂いがします///」ナデナデ
綾狐
「ン?あァ此の匂い…」クンクン
月子
「なんの匂いなんですか?とっても落ち着くいい匂いです///」
月子は目を細め豆太郎の体に頬を寄せる。
綾狐
「管達の部屋で焚いている香の匂いだよ。さては琉々に拉致られてたな?」ククク
月子
「琉々さんたちのお部屋ってお香を焚いているんですか?」
綾狐
「おう。管達の霊力、妖力を平準化する為の香で、稲荷直系の子孫にしか製法が伝えられていない特別の香なンだよ」
月子
「へぇ〜。ちなみに、管さんたちって一体何人いらっしゃるんですか?」
綾狐
「ン?…ン〜…そういやァ数えたこと無いなァ」
うぅんと目を瞑り顎に手を当て考える。
すらっ。
月子
「Σ!!;;;」ビクッ
琉々
「"二十七匹"に御座います」
すたんっ。
月子
「…」
綾狐
「………。居たのか彼奴」
居室に微妙な沈黙が流れる。
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