胎動篇《二》ー001

綾狐
「"多重人格"。妖怪に人格ってどうなのよって話だけど、そいつは俺が望ンだ"男の俺"だったンだな。記憶の無い戦はそいつが代わりに戦っていたンだよ」

月子
「!?」

綾狐
「簡単に言うと…何だ?なンかな?一つの肉体に二つの魂が無理矢理同棲してるンだな」

月子
「…ちょっと…頭が追いつかないです…;;;」

綾狐
「だよなァ」カッカッカッ

月子
「その方は、今も?」

綾狐
「居るよ。で、この風呂の話になるンだけど」

月子
「え?お風呂?」キョトン

綾狐
「そう。俺と狐次郎が入れ替わると身体も女から男になっちまうンだなァこれが」

月子
「!?」

綾狐
「最近はもう全然平気だが、狐次郎が発現してから十六、七の頃まで誰かと風呂に入る事を避けた。見られたくなかった」

月子
「…」

綾狐
「でも隠し事は性に合わなくて皆に話をした。そしたら風呂なンか造りやがってよ。可笑しいだろあいつら?俺がすげェ悩んでンのに"これでどうだ"って」クックックッ

月子
「なんだかズレてますね」アハハ

綾狐
「だろ?俺も泣きながら笑い転げたよ。その日の夜にまた狐次郎の夢を見て、一言だけ"頑張るのと無理をするのは違うンだよ"って」

月子
「ざっくりだけどなんだか胸があったかくなる言葉ですね」

綾狐
「なァ〜。それから俺も気持ちに余裕が出来てな。まァその内月子にも会わせるよ」

月子
「男の綾狐姉さま…」



どんな方なのでしょう…。



綾狐
「………。長風呂になった。そろそろ上がるか」ザバァー

月子
「はい!」ザバァー


  ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
 

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