胎動篇ー047

綾狐
「うァ゛〜っ///」ノビ〜ッ

月子
「んーっ!!気持ちいい〜///」

綾狐
「だァ〜ろ〜?」

月子
「景色も綺麗///…!」


月子は景色と自分の間に居る綾狐に目を奪われた。


月子
「…姉さま…その傷…」


月明かりに照らされた綾狐の身体にはおびただしい数の傷が付いていた。


綾狐
「傷?…あァこれか。これは戦歴。勲章だよ」クスッ

月子
「傷が勲章…?」


綾狐は改めて自分に残った古傷を確認する。


綾狐
「そ。国と民を守り抜き、生き残った証。前線に居た銀、銀華、金華、花猫も着物の下は傷だらけだよ」

月子
「皆さんも…?」

綾狐
「おう。彼の頃は酷かったな」

月子
「…」

綾狐
「何年も何年も毎日が殺るか殺られるかの日々だった」

月子
「…何年も…」


月子は言い表せない気持ちに言葉が詰まってしまう。

そんな月子を余所に綾狐は自分の両手を見つめたまま語り出す。


綾狐
「…彼の少し前か。人間に化けて飯綱(いづな)に修行を押し付けて抜け出したのは」クックックッ

月子
「修行…サボったのですか?」

綾狐
「あァ。周りに何も無くて遠くまで見渡せる草原(くさはら)に昼寝しに行ってた」カッカッカッ

月子
「気持ち良さそうですね」


月子は目を瞑り想像する。


よく晴れた空―。

白く大きな雲―。

ふわふわの草原―。

吹き渡る風―。
 

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