冬の夜更けに-007
体力には自信のある月子は平然としている千代を見て凹んでいた。
月子
「と、ところで千代ちゃんここは?」ハァ…
千代
「はい!ここが今夜のお宿です!お疲れさまでした〜!」
月子
「!?」
どう見ても…立派なお屋敷にしか…;;;
ふと門の横に掛けられた札が目に入る。
月子
(…"稲荷(いなり)"さん?)
ぼんやりしていると後から来ていた母親と千歳が合流して屋敷の中へと案内される。
酷く入り組み階段の多い屋敷。千代と千歳の手に持つ灯りを頼りに歩いている為に辺りはよく見えなかった。
部屋に着くと布団がもう敷かれていた。見るからに高価な空気を放つ布団…。
千代
「じゃあ今日はゆっくり休んでね。あ、厠はここを出てすぐ左に二回曲がった突き当たりにあるよ!それから明日は私がここにお迎えに来るから!一緒にご飯食べようね!」ニコッ
月子
「あ、うん、あ、ありがとう;;;」
千代
「それじゃあおやすみなさい!」
月子
「うん、おやすみなさい」クスクス
静かに障子が閉じられると静けさが部屋を満たした。
母親
「元気な娘さんねぇ。ふふ」
月子
「うん」
母親
「さ、今日はもうお言葉に甘えて寝かさせていただきましょう。…明日、きちんと説明をするわ」
月子
「お母さん…。もう、いいよ。もう、大丈夫」
母親
「月子?」
月子
「よくわかんなかったし、怖かったけど…もういいの。夜莉さんも千代ちゃんも千歳ちゃんも良い人だったもん…///」
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