胎動篇ー043
稲荷家
【大浴場】
天納
「…広いっすねぇ」ハァ〜
香紗
「…広いな…しかも露天。そして雪見」ビシッ
天納
「香くん!香くん!」
香紗
「ん?」
天納
「翼流して欲しいっす☆」バサッ
香紗
「いいぞ。後ろ向け」
天納
「はいっす☆」
桶に湯を汲むと丁寧に翼を流してやり「身体は自分でやれよ」と桶を渡した。
天納
「うんっ☆」バシャバシャ
香紗
「よく流せよ。で、三十数えてから出ろよ」ザバーッ
天納
「Σさん…っ;;;」ジャボン
香紗
「気持ち良いな」
がらっ。
銀之丞
「あれ?誰か入ってる?」ペタペタ
香紗
「あ、れ?確か…銀華さん…?;;;」
天納
「Σ女男っ!?」ガビンッ
香紗
「…」ベシッ
天納
「Σいたぁっ;;;」
香紗
「一から数え直し…」
銀之丞
「あはは!良いよ良いよ。僕は銀華の兄の銀之丞というんだ。君は?」
香紗
「柳凪香紗といいます。お初にお目にかかります」
銀之丞
「柳凪のご長男かな?」
香紗
「はい。銀之丞殿は…綾狐殿より年上とお見受けしますが…」
銀之丞
「義理の兄妹なんだよ。僕は従者、稲荷家の正統な後継者は綾狐なんだ。だからあいつが当主してるの」ザバーッ
香紗
「そうなんですか」
天納
「か…かお、るくん…も、げんかい…;;;」グッタリ
香紗
「先出て良いぞ。出たら部屋で大人しくしてろよ」
天納
「…へや…どこだっけ…?…;;;」フラフラ〜…
香紗
「あー…じゃあ脱衣場で待ってろ」
天納
「…う〜ん;;;」フラフラ〜…
銀之丞
「彼お風呂苦手なの?」オヤオヤ
香紗
「"烏の行水"みたいな?あれは一応烏天狗なんですよ。水浴びも風呂も好きなんですが、長くは入っていないですね」
銀之丞
「へぇ〜?そういえば今日泊まるんだよね?部屋はたぶん山藤かな?」
香紗
「はい。あ、でも…場所は聞くの忘れたな…」シマッタ…
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