冬の夜更けに-006
千代
「じゃあ月ちゃんね!」ニコッ
月子
「…」
!?
千代
「じゃあ行こう!お母さまも!」
月子
「え?え??」
ぐいぐい引っ張る千代に圧倒されながらよろよろと歩く月子はふと後ろを振り返る。
月子
「っ夜莉さん!」
夜莉
「? はい」
月子
「えっと…ここまでありがとうございましたぁ!///」
夜莉
「!」
遠ざかる夜莉は一瞬驚いた顔をすると直ぐに笑顔を返し、軽く会釈をして月子に手を振った。
千代
「良い人だよね!夜莉さん!」
月子
「えっ?」
千代
「珍しいんだよ〜?夜莉さんが案内役をするのって」
月子
「そう、なの?」
千代
「うん!さ、こっちこっち!」
月子
「え?Σわっ;;;ちょっ、あんまりひっぱらないで千代ちゃん!;;;」アワワ;;;
月子の抗議も何のその。千代は相変わらずぐいぐいと月子を引っ張って行ってしまう。そんなふたりの後ろを母親と千歳がゆっくりゆっくり歩いた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 一体どれだけの距離を引っ張られたのか。月子は膝に手をついて息を上げている。
月子
「……|||」ゼェ…ゼェ…
千代
「ご、ごめんね…月ちゃん…;;;」
月子
「…ち、千代ちゃんって…体丈夫なんだね…|||びっくりした…|||」
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