胎動篇ー035

月子
「そういえばお墓なんですが」

梅虎
「お墓?」

月子
「はい。大きな桜の木が生えてて。わたしが知っているお墓とは随分違くて…」

梅虎
「あぁ煌黄桜だね」


月子はお茶を飲みながら頷く。


梅虎
「月子ちゃんが知っているお墓ってどんなお墓だい?」

月子
「どんなって…んー、あまり人気の無いところにひっそりとあって、墓石が立ってたりとか…」

梅虎
「そうね」

千代
「そうなの?」

月子
「Σえ!?千代ちゃん知らないの?」

千代
「うん。わたしは生まれも育ちもここだから」

銀華
「そうね。千代も千歳も"大門"を潜る事は無いから」

千歳
「…」コクン

梅虎
「外の国のお墓ってまぁそういう感じなんだよ。亡くなった人を棺桶の中に入れて土の中に埋めるんだよ」

千代
「Σそのまま埋めてしまうのですか!?」

月子
「Σそのまま埋めないの!?」


月子と千代が驚いて互いの顔を見合わした。


梅虎
「和国のお墓は余所の国とは違うんだよ。まず亡くなった人を焼いて、残った骨や灰を煌黄桜の周りに埋めるんだよ」

月子
「亡くなった人を焼く…?」


梅虎は静かに頷いて続ける。


梅虎
「そう。和国ではね、"焼かれた肉体は灰に成って土に還り、魂は煙に乗って天に昇る"と云われているんだよ」

月子
「…」
 

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